イギリスやイタリアとともに、「スーツ三大国」としての名を持つアメリカ。現代のようなビジネスウェアとしてのスーツは、20世紀にアメリカから広まりました。
本記事では、アメリカのスーツの魅力についてご紹介するほか、アメリカ発祥のスーツブランドについてもご紹介します。また、後半では着こなしのポイントについてもわかりやすく解説しますので、ぜひ最後までご覧ください。
アメリカのスーツ「アメリカンスタイル」とは
スーツの代表的なスタイルの1つが、アメリカの「アメリカンスタイル」です。
ウエストをあまり絞らないボックス型のシルエットで、動きやすさや機能性重視のスタイルが大きな特徴です。イギリスやイタリアをはじめ、ヨーロッパ諸国のスーツと比較しても、合理的なアメリカの国民性が現れているといえるでしょう。
また、アメリカには体格のいい方が多いため、誰でも着こなせるようにゆったりとした作りになっています。貫禄を出したいときや、少しカジュアルな見せ方をしたいときにもおすすめのスタイルです。
一方で、現代のスーツスタイルの線引きは昔と比較するとやや曖昧になりつつあり、イギリスやイタリアの要素もあわせ持つスーツも登場しています。
アメリカンスタイルの歴史
アメリカのスーツは、もともとイギリスから伝わったといいます。アメリカはかつてヨーロッパからスーツを輸入をしていましたが、20世紀に入る頃には自国で作るようになり、アメリカの国民性に合わせて独自に発展してきました。
資本主義大国として知られるアメリカでは、「大量生産」の考え方がスーツにも反映されています。一着ずつオーダーメイドで丁寧に仕立てるというよりは、既製品スーツを効率よく生産することに重点が置かれた結果、メリハリが少なくどのような体型の方も似合う「アメリカンスタイル」が生まれたのです。
ヨーロッパ諸国において、スーツはもともと貴族や軍人の格式の高い服装として発展してきました。一方、アメリカでは経済成長と発展に伴い、ビジネスウェアとしての概念が徐々に定着していきます。
このような背景を経て、現在ではイギリスやイタリアとともに「スーツ三大国」としての名を持つようになったのです。
アメリカのスーツと他国のスーツとの違い
アメリカンスタイルのルーツについてご紹介しましたが、スーツスタイルにはアメリカンスタイルのほかに「イタリアンスタイル」や「ブリティッシュスタイル(英国)」もあります。
ここでは、それぞれの特徴やアメリカンスタイルとの違いについて解説していきます。
イタリアンスタイルとの違い
ウエストを絞らないボックス型のシルエットであるアメリカンスタイルに対して、イタリアンスタイルは全体的にボディラインが出やすく、メリハリの利いたシルエットが特徴です。丸みを帯びて柔らかさを感じる肩周りに対し、ウエストシェイプは高い位置にしっかりと入っています。繊細な生地を使用したソフトな仕立てで着心地は軽やか、程よいドレープ感や曲線美も備わっています。
また、イタリアの自由な国民性はファッションセンスにも現れており、生地の鮮やかな色使いや、着心地、リラックス感を大切にしている雰囲気があります。軽くて薄い生地が使われる理由の一つには、温暖な気候も影響しているといわれています。
ブリティッシュスタイル(イギリス)との違い
ブリティッシュスタイルはもともと、貴族や軍人に着用されることを想定して仕立てられてきました。厚い生地にストレートなシルエットが特徴で、伝統的なスタイルを重んじる、規律正しいフォーマルなスタイルです。
ウエストシェイプはイタリアンスタイルほど強調されないものの、自然な雰囲気で絞られています。しっかりとした肩パッドや袖山の盛り上がりなど、構造的なシルエットも特徴です。格式高く、フォーマルなシーンにもおすすめのスタイルです。
アメリカのスーツの特徴
続いて、アメリカのスーツの特徴について詳しくご紹介していきます。アメリカンスタイルの特徴は以下の通りです。
・機能的で動きやすい
・ゆったりとしたシルエット
機能的で動きやすい
先に触れた通り、アメリカのスーツは機能性を重視して作られているのが特徴です。ヨーロッパのスーツと比べて絞りが少なく、動きやすいカジュアルテイストな仕様となっています。
また、生産性の面でも効率が重視されており、ミシンで縫いあげたラペルのエッジには、連続したステッチがあしらわれたスーツが多いです。
ゆったりとしたシルエット
ゆったりとしたシルエットもアメリカンスタイルならではです。人を選ばず着こなしやすい上、お腹周りが気になる方でも隠せる仕様となっています。
アメリカンスタイルのシルエットの大きなポイントは、以下の通りです。
・ボックスシルエット
・ナチュラルショルダー
ボックスシルエット
アメリカでは「フロントダーツ」が入っていないスーツが多く、ウエストの絞りがありません。そのため、肩から腰回りまでのラインの横幅はほとんど均一、直線的なシルエットとなっています。
まるで砂袋のように見えることから、「サックスーツ」とよばれることもあります。
ナチュラルショルダー
「ナチュラルショルダー」と呼ばれる肩のソフトなラインも特徴です。肩の自然なラインに沿って作られており、パッドも入れない場合が多いです。肩が上がるデザインと比較すると、ややソフトな雰囲気になります。
アメリカにはがっしりとした体型の方が多いため、肩パッドを入れずとも見栄えがするという背景もあるでしょう。
アメリカのスーツが似合う人
アメリカのスーツとほかのスタイルのスーツで悩んでいる方もいるかもしれません。
アメリカンスタイルは比較的どのような体型の方でも似合うとされていますが、ここではおすすめな方の特徴を以下にまとめました。ご購入を検討されている方は、参考にしてみてください。
アメリカのスーツが似合う人
・標準体型からややふくよかな体型の方
・機能性や快適性を重視したい方
・スポーティやカジュアルにスーツを着たい方
アメリカのスーツの着こなし
続いて、アメリカのスーツの着こなし方をご紹介します。アメリカンスーツを着用する際に押さえておきたいポイントは以下の通りです。
・アメトラの代表“紺ブレザー”
・ボタンをアクセントに取り入れる
・カジュアルでスポーティに着こなそう
アメトラの代表“紺ブレザー”

アメリカのスーツといえば、「紺ブレザー」はマストアイテムといっても過言ではありません。ビジネスシーンではもちろんのこと、デニムと合わせてカジュアルにも着こなせます。
汎用性が高く、一着は持っておきたいアイテムです。
ボタンをアクセントに取り入れる

アメリカらしいファッションを楽しむなら、アクセントとしてボタンを意識してみるのもおすすめです。メタルボタンや金ボタンは紺ブレザーとの相性も良く、着こなしの幅を広げてくれます。
カジュアルでスポーティに着こなそう

アメリカらしい着こなしなら、「アメリカントラッド」とよばれるコーディネートがおすすめです。ネクタイにリバースタイを取り入れたり、ボタンダウンシャツと合わせたりと、少しカジュアルな雰囲気のアイテムとよく合います。
ただし、ビジネスシーンでは相応しくないとされる場合もあるので、TPOに考慮する必要はありそうです。
アメリカのスーツブランド8選!
続いて、アメリカのスーツブランドをセレクトしてご紹介します。
ブランド名 | 特徴 |
Brooks Brothers(ブルックス ブラザーズ) | 幅広い年代に人気の老舗ブランド |
Paul Stuart(ポール・スチュアート) | ハイブランドの中では比較的挑戦しやすい |
Ralph Lauren(ラルフローレン) | パープル レーベルがエグゼクティブに人気 |
TOM FORD(トムフォード) | トレンド感がありファッショナブル |
J.PRESS(Jプレス) | オーセンティックアメリカントラディショナルな雰囲気 |
HICKEY FREEMAN(ヒッキーフリーマン) | 職人技が光る老舗ブランド |
TOM BROWNE(トムブラウン) | 比較的新しいラグジュアリーブランド |
CALVIN KLEIN(カルバン クライン) | やや細身なシルエットが特徴 |
Brooks Brothers(ブルックス ブラザーズ)
Brooks Brothers(ブルックス ブラザーズ)は1818年の創業で、アメリカで最も歴史があるとされるファッションブランドです。クラシックなスタイルを継承しつつ、現代のトレンドも取り入れたスタイルが魅力です。30〜40代をメインに人気ですが、若い世代からミドル世代まで、幅広い年代に支持を得ています。
リンカーンやケネディなどの歴代米大統領も着用しており、数々の著名人が愛用しています。
Paul Stuart(ポール・スチュアート)
Paul Stuart(ポール・スチュアート)は、ニューヨーク発のファッションブランドです。10万円程度からスーツのラインナップがあり、ハイブランドの中では比較的挑戦しやすいでしょう。20代以降の若い世代で、お気に入りの一着を持っておきたい方にもぴったりでしょう。
スタンダードな「EDWARD」、トレンドを押さえた「BAKER」、モダンな「YORK」など、多彩なスタイルのスーツを展開しています。
イギリスのファッションセンスを取り入れつつ、アメリカンスタイルを融合させた「コンテンポラリー・クラシックスタイル」が特徴で、世界中のセレブたちからも愛されるブランドです。
Ralph Lauren(ラルフローレン)
Ralph Lauren(ラルフローレン)も、1967年創業の老舗ブランドの1つです。ポロシャツやケーブルニットなどのジュアルなアイテムで有名ですが、実はスーツも展開しています。特に「パープル レーベル」はエグゼクティブなビジネスマンに人気です。
トレンドに左右されず、上品に着こなせるスーツをお探しの方におすすめです。
TOM FORD(トムフォード)
TOM FORD(トムフォード)は2005年に創業された、比較的新しいラグジュアリーブランド。既製品で約50万円〜、オーダーメイドの場合はそれ以上の相場です。
素材の確保から製造までを自社で一括管理し、ハイクオリティのスーツを生み出しています。トレンド感のあるファッショナブルなスーツでありながら、エグゼクティブなビジネスマンからも評価の高いブランドです。
J.PRESS(Jプレス)
J.PRESS(Jプレス)は1902年、アメリカ東部のニューヘイブンにて創業しました。長年アメリカのエリートたちに愛され続ける、オーセンティックアメリカントラディショナルなブランドです。
快適な着心地にこだわって作られており、長く愛用できるデザインのスーツが豊富です。
HICKEY FREEMAN(ヒッキーフリーマン)
HICKEY FREEMAN(ヒッキーフリーマン)は、職人技が光る老舗ブランドです。1899年にアメリカのニューヨークで創業し、100余年にわたり手縫いの仕立てを提供しています。
「ソフト・テーラーリング」とよばれる仕立て方で、体のラインに沿った縫製が特徴です。
TOM BROWNE(トムブラウン)
TOM BROWNE(トムブラウン)は、老若男女問わず幅広い層に支持されるブランドですが、特に人気なのがメンズスーツです。
アメリカントラッドなスタイルを現代風にアレンジしており、パーティ向けのスーツも多く展開しています。シンプルなデザインでやや着丈は短く、上品な印象で着こなせます。革靴やシャツも展開しているので、揃えて楽しむのもおすすめです。
CALVIN KLEIN(カルバン クライン)
CALVIN KLEIN(カルバン クライン)のスーツは、洗礼されたデザインでやや細身なシルエットが特徴です。イタリアのレダ社をはじめ、高級生地を用いて作られています。
他のブランドと比較するとリーズナブルな価格帯も魅力で、コストパフォーマンスを求める方にはおすすめなブランドです。
アメリカンスタイルのスーツはスーツセレクトへご相談を
今回は、アメリカのスーツ「アメリカンスタイル」について詳しくご紹介しました。ヨーロッパ諸国と比較するとスーツの歴史は浅いですが、機能性の高い作りであり、ビジネスマンから広く愛されています。
アメリカンスタイルのスーツを着こなすためには、ご自身の体に合ったスーツ選びが欠かせません。選び方に不安がある場合や、しっかりサイジングをしてジャストフィットのスーツを探したいという方は、プロのアドバイザーに相談してみるのも一つです。
スーツセレクトでは、ビジネスファッションとしてのスーツはもちろんのこと、結婚式向けのフォーマルスーツやオーダーメイドスーツ、幅広い年代・用途の方に対応しています。もちろん、アメリカンスタイルのスーツもオーダー可能です。
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