SUIT MAINTENANCE GUIDE #01 デイリーケア
スーツの代表的なメンテナンス方法として一番最初に思いつくものはクリーニングですが、
専門店に持ち込むまでの日々のメンテナンスについて、正しい知識を聞く機会は少ないですよね。
従来からスーツのお手入れは専門店に持ち込み、ドライクリーニングをすることが一般的でした。しかし現代では専門店も技術が発達してクリーニング方法にもウォータークリーニングや特殊クリーニングなど幅広い種類があり、簡単にご家庭で洗濯できるスーツも増えて来ました。
スーツは着る人の着用頻度やシーン、製品の素材や特徴によってお手入れの仕方が異なります。大切なスーツを長く着るためにも、お持ちのスーツの特徴に合ったお手入れを行うことが大切です。
また、クリーニングに持ち込む場合も、自宅で保管する間はハンガーに掛けているだけで良いのか?や、どのくらいの頻度でクリーニングに出したら良いか?などクリーニングとの付き合い方も迷ってしまいますよね。
ここからは、一般的なスーツのお手入れ方法・基本の「き」をご紹介します。
洗濯や、クリーニング店に持ち込むまでの日常的なお手入れ方法の基本をマスターし、大切なスーツを長く着てもらうためのステップをご紹介します。
スーツセレクトがおすすめするメンテナンス術。
ぜひ参考にしてみてください。

事前準備
①ジャケットハンガー
木製で肩の部分に厚みのあるハンガーがおすすめです。
木製ハンガーはスーツに残った湿気からスーツを守ってくれます。
また、防臭効果や静電気による埃の付着を防いでくれます。
なるべく型崩れしないスーツの肩に合った肉厚のハンガーを使ってケアしましょう。
②パンツハンガー
裾幅が狭いものから広いものまで対応できるピンチ可動式がおすすめです。
また、ピンチは生地にアタリが出ないよう当て布を挟んだり、シリコンなどでハサミに保護加工があるものがおすすめです。
③ブラシ
ブラシは天然素材のものがおすすめです。
天然素材のブラシは静電気が起こりにくく、繊維に優しく埃を落とすことができるからです。
天然素材のブラシには馬毛と豚毛の2種類があり、馬毛の方が柔らかくしなやかなのが特徴です。
豚毛は適度にハリがあり、スエードや重量感のあるウールコートなどに最適と言われます。
ウールのスーツには柔らかい白豚毛や毛足の長い馬毛が相性が良いと言われます。
お手持ちのスーツに合わせたブラシを用意しましょう。
④スチーマー
スーツをハンガーに掛けた状態で使用できるものを選びましょう。
アイロンに付帯のスチーマーや、スチームアイロン、衣類スチーマーなどがあります。
急な出張などでどうしてもスチーマーが用意できない場合は浴室で湯船にお湯を張るなどして湯気を利用して代用できますが、スーツに余分な水分を残しては良くないので注意が必要です。詳しくは後出の手順内で説明します。
手順
①ハンガリング

スーツの寿命を縮める一番大きな要因は型崩れと言われます。
着用でできてしまったシワを定着させないためにも、なるべく早いうちにハンガーにかけることが大切です。
ジャケットは、肩より大きすぎず小さすぎない適切な幅のハンガーに収めましょう。
スラックスは、クリース(センタープレス)を整えて山折り、サイドシーム(脇の縫い目)を揃えて逆さ吊りにします。
逆さ吊りにする理由は、スラックスのウエスト部の方が生地が重く、パンツ全体のシワを自然に伸ばしてくれる効果があるからです。
②ブラッシング

ブラッシングはスーツに付着したチリや埃、花粉といった目に見えない生地の織り目に詰まった汚れを落とす役割があります。
また、繊維の毛流れを整えることで生地に空気が通り膨らみを回復することで光沢感を甦らせ、スーツの持ちを良くする効果もあります。
ジャケット
ブラッシングするときは、繊維に沿って一定方向(上から下)にかけて行きましょう。
まずは、衿〜肩〜身頃〜袖に向かって軽く叩きながら、汚れを浮かせてブラシをあてます。
その後、浮かせた埃を払うように2度3度繰り返してブラシがけをします。
縫い目の部分や、肩、袖口などの汚れやすい場所はより丁寧に行いましょう。
衿は立てて、隠れた部分のブラシ掛けも大切です。
スラックス
スラックスは、座る動作でぺたんこになったヒップやウエスト付近の生地を整えるために重点的にブラシをかけましょう。丁寧に日々行うことでテカリを防ぐ効果があります。
また、膝から下には砂埃が留まりがちなので、しっかり叩き掛けをしましょう。
③しわ伸ばし
ウール製品には、自然の回復力があるのでハンガーに掛けるだけでもある程度のしわは回復しますが、水分と熱の力が加わるとさらに回復が早くなります。
霧吹きの水やスプレー

ウールは水分を含むと回復が早くなりますので日常使いには効果的です。
ハンガーに掛けた状態で、全体的に霧をくぐらせ、シワの強い部分は重点的にスプレーします。
ただし、かけすぎは渇きが遅くなったり、半乾きニオイなどの原因にもなりますので注意しましょう。
スチーマー

スチームは蒸気と熱でシワの回復が早く、消臭効果や除菌効果がありますのでおすすめです。
アイロン付帯のスチーマーを使う場合にはプレス部分がスーツの生地に当たらないように注意しましょう。
また、ポリエステルなどの場合には回復が弱くなります。
どうしても取れない強いシワが入ってしまった時は、クリーニング店に持ち込むか、ご自宅で行いたい場合は適正温度のアイロンでプレスします。
プレスはコテ光に繋がるので当て布が必須。プレスはお手入れの最終手段と考えましょう!
浴室で代用
急な出張などで霧吹きやスチームがない場合に有効なのが浴室の湯気を利用したお手入れです。
入浴後などの蒸気が残っている状態で1〜2時間ハンガーに掛け吊るしておくだけでシワの回復を早めます。
ここでも掛けっぱなしでスーツに湿気が残ってしまうとニオイの原因に繋がりますのでしっかり乾燥できる時間に留めましょう。
④乾燥・休ませる

スーツは1日着用したら「汗抜き期間」として最低でも1日、できれば2〜3日休ませることが望ましいです。
スーツセレクトでは、お買い物の際に「1着3休」を推奨していますが、これはスーツを長く着てもらうために、しっかり乾燥させて欲しいという願いからのおすすめです。
保管は日光のあたらない場所で風通しの良い場所を選びましょう。
このとき、スーツにカバーをかけて保管される場合は、ビニール製などの通気性の悪いものは避けます。
ウールは羊毛ですが、スーツを作るうえで欠かせない保温性、吸湿性、通気性、伸縮性、耐久性などのメリットがある一方で、人間の髪の毛と同じように湿った状態での摩擦・力が加わることに弱い繊維でもあります。
1日着用したら丁寧にブラッシングを行い、しっかり乾燥させて次回の着用に備えましょう。また、雨の日や湿度の高い時期はいつも以上にしっかり乾かしましょう。
まとめ
スーツをより長く、ご愛用いただくためのデイリーケアについて4つのステップを記載しました。
思い入れのある大切なスーツも、帰宅してソファーや椅子に掛けただけになってしまっては早い劣化につながってしまいます。
毎日すべての工程ができなくても、ちょっとしたお手入れを日常的に行うだけで飛躍的にスーツを長持ちさせることができます。
洗える干してそのまま着られる「とにかくラク」なスーツを取り入れながら上手にスーツをローテーションすることをおすすめします。
スーツセレクトでは、ノーアイロンウォッシャブルの「4Sスーツ」も取り扱っております。
ぜひ、大切な一着をより長く着ていくためのローテーションも検討してみてください。
