SUIT MAINTENANCE GUIDE #2 クリーニングケア
スーツの定期的なメンテナンス方法として最初に思いつくものは「クリーニング」だと思いますが、スーツに慣れてはいても、クリーニングについて詳しく知る機会は少ないですよね。
クリーニングを利用したことがある人でも、
「スーツが傷みそうで怖い。」
「何となく高そう。」
「どのくらいの頻度で出すべきかわからない。」
このような悩みや不安があるのではないかと思います。
専門店でのクリーニングは、家庭洗濯と比べるとコストがかかり、持っていく手間や、便利な配達タイプも梱包するなどの手間がかかり、預けてから日数がかかる…など、多少の煩わしさがあります。しかし、ドライクリーニングでしか洗うことができないお洋服もたくさんあります。クリーニング店を適切な頻度で利用することで、ご家庭では簡単に落とせない種類の汚れを落としたり、専門のプレス機ならではのしわや型崩れを甦らせたりする仕上がりへのメリットもありますよね。
このページでは、クリーニングについて詳しくご紹介しながら、ご覧いただいている方の大切なスーツを長く着るお手伝いとなればと思っています。
ぜひ、ご参考になさってください。
クリーニングの種類
①ドライクリーニング

家庭洗濯との大きな違いのひとつとして挙げられることは、ドライクリーニングは「水を使わない」洗濯方法であるということです。
水の代わりに有機溶剤などを使用し、油性の汚れを落とすことができます。
水に弱いウールやカシミア、シルク、レーヨンなどの素材のスーツやコートの洗濯に適しています。
油性の汚れの代表例は、皮脂・ファンデーション・食事での油汚れ・油性インクなどです。
水を使わないことで、製品の型崩れ収縮、風合いの変化が起きにくいと言われています。
しかし、油性の汚れに強い反面、水溶性の汚れにはあまり効果が無いと言われています。
水溶性の汚れの代表例は、汗や手垢などの日常汚れや、しょうゆや果汁、お酒などの水を含んだ汚れです。
製品の洗濯表示は、ドライ溶剤の種類分けのため2つのマークがありますが、〇の中に「P」「F」のいずれかが表示されるものがドライクリーニング対応になります。下線が入ると弱い処理のみ可能です。イラストの一番左にある、〇に✕がついたマークはドライクリーニング不可製品になりますので注意しましょう。
水洗いができない素材の代表例
・ウール、カシミア、アンゴラ → 縮みやすく、毛玉になりやすい
・レーヨン、テンセル、アセテート → 縮みやすく、変形しやすい
・シルク、麻、レース → 縮みやすく、変形しやすく、脆い
②ウェットクリーニング

ウェットクリーニングは、ドライクリーニングに加えて特殊な水洗い処理をした2つの工程で行われるクリーニング方法のことを指します。
注意点は、製品にウェットクリーニング可能な表記がされている場合にのみ行われる洗濯方法だということです。製品表示は、〇の中に「W」が入ったマークになります。下線が1本入ると弱い処理、2本入ると非常に弱い処理に対応します。マークに✕が入ったものは、ウェットクリーニング不可になります。ウェットクリーニングは、通常のドライクリーニングの油性汚れを落としたのちに、水溶性の汚れを特殊な方法で落とします。皮脂と汗の水分などが混ざったいわゆる「混合汚れ」にも対応します。
水洗いができない素材の製品でも、ウェットクリーニングには対応しているケースが意外と多いので、ぜひ品質表示のマークを確認してみましょう。
デメリットは、割高で仕上がりまでに時間がかかること。また、通常クリーニングよりも製品に負荷がかかるため、出しすぎに注意することです。
毎回のメンテナンスと言うよりは、スーツを徹底的に綺麗にしたいときに利用することをおすすめします。
③ランドリークリーニング
ランドリークリーニングは、スーツで使うことが少ないクリーニング方法ですが、特殊な大型のランドリー機に温水と専用洗剤を使用して洗いにかけるものです。
温水の温度は、40℃〜70℃とやや高い設定で、大型ドラムに入れることから、シーツや、ワイシャツなど耐久性のあるものに適していると言われます。
④特殊クリーニング
特殊クリーニングは上記のクリーニングに対応できない毛皮や革製品、着物などの特殊なものに対応する洗濯方法です。
クリーニングの頻度

スーツをクリーニング店に持ち込む頻度は、着る人の着用頻度によっても異なりますが、毎日着る人で1シーズンに1〜2回持っていくことが理想と言われています。
実は、過度なクリーニングはスーツの風合いを損なったり、劣化につながります。
とはいえ、汚れたスーツをそのままにすると、汚れが定着したり臭いの原因にもなります。
基本的にはシーズンに1〜2回、汚れや臭いが目立つ場合はなるべく早めに持ち込みましょう。また、冬物よりも夏場の方が皮脂汚れが多くなりがちなので、清潔に保つためにもお手持ちのスーツの着数を増やすことをおすすめします。
スーツはローテーションをして着まわすことで、消耗を防ぐことができます。
社会人になったばかりの方や、スーツを着始めたばかりの方はまだ着数が少ないとは思いますが、1シーズンに最低でも2着、できれば4着のスーツを着まわすことをおすすめしています。
スーツは水(湿気)に弱いため、できるだけ完全に乾いた状態で袖を通すことが望ましいです。大切なスーツを長く着られるように、ぜひ「1着3休」を目安に1日着たら3日程度、しっかり休ませることをおすすめします。
また、高機能ポリエステルや吸湿速乾に優れた繊維を使用した「洗えるスーツ」や「撥水加工」など、ご家庭で簡単にお手入れできるタイプのスーツを取り入れることで上手に洗い替えの着回しができます。
スーツセレクトでは、洗って干してそのまま着れる「4Sスーツ」や、急にスーツをクリーニングに出さないと行けなくなったときにテイクアウトで買えるスーツなど、バリエーション豊富にご用意しております。困ったときは、お手入れのプロに聞いてみるのもおすすめです。
クリーニング前後の注意点
①持ち込むとき
ポケットの中身を確認する
スーツのポケットは無数にあり、飴やガムはもちろん、メモやカード、ボールペンなど、意外とたくさんのものをしまっています。クリーニングに出すときは、紛失や破損のトラブルを招かないよう、しっかり確認してポケットを空にしてから持っていきましょう。
汚れの状態やほつれなどが無いか確認する
糸のほつれや、生地が破損したままでクリーニングに出すことは状態を悪化させることにつながるためおすすめできません。
補修を同時に行っているクリーニング店もありますので、持ち込む場合は相談をしましょう。
また、汚れがはっきりわかる場合や、汚れの種類がわかる場合、汚れてから時間の空いてしまった場合などは事前に相談することで適切なクリーニングにつながりますのでお伝えしましょう。
上下セットのスーツはできるだけ一緒に持ち込む
クリーニングの回数を重ねることによっては、どうしても色合いの変化や素材の風合いに変化が出てしまいます。
1度や2度ですぐにわかる様な変化があるわけではありませんが、例えば夏場にスーツのスラックスだけを使用するなど、使用頻度に偏りがあることはあまりおすすめできません。
これは、クリーニングだけではなくご家庭で洗えるスーツにも同じことが言えます。
できるだけ、バランスよくセットで使用し、単品使いは単品用のアイテムを着ることをおすすめします。
②帰って来た時
ビニールから外して肉厚ハンガーに掛け直す

スーツは湿気に弱いため、戻ってきたらまずビニールを外して、風通しの良い日陰に陰干しをしましょう。ドライクリーニング特有の臭いが気になる場合も陰干しで気にならなくなるはずです。
また、スーツの保管は陰干しが必須です。日の当たる場所に置くと繊維も日焼けをします。色あせを防ぐためにも日陰に干しましょう。
ハンガーはできればジャケット、スラックスを別々に用意しましょう。
ジャケットハンガーは、木製で肉厚なデザインで肩のサイズのあったものがおすすめです。
パンツは裾口を上にした逆さ吊りが保管に最適なため、様々な裾幅に調整できるピンチが可動式のものがおすすめです。
仕上がりチェック
汚れがわかっている場合はその状態の確認はもちろん、ボタンや付属の状態までしっかり確認しましょう。気づくのに期間が空いてしまうと対応してもらえないこともありますので、なるべく早めに確認することをおすすめします。
着用頻度が低い場合の保管方法

長期保管をする場合は、湿気が少なく、日の当たらない場所に保管しましょう。
不織布などの通気性の良いカバーでホコリから守ることをおすすめします。
また、保管場所の除湿が大切です。クローゼットやタンスが締めっぱなしにならないように定期的な換気を行いましょう。
まとめ
スーツをより長くご愛用いただくためのクリーニングのポイントを記載しました。
思い入れのある大切なスーツも、クリーニングとの付き合い方を間違うと効果が出にくかったり、スーツの消耗を早めてしまうことにつながります。
適度に出して清潔を保ちつつ、1着を大切に着たいですよね。
スーツセレクトでは、大切な1着を守るための「1着3休」スーツのローテーションをおすすめしています。
洗える干してそのまま着られる「とにかくラク」な4Sスーツも、多数取り揃えております。上手にスーツをローテーションしたい方は、ぜひ店舗に足を運んでみてくださいね。
